海外で生活すること
私は欧州の会社に転職するまで、旅行以外で海外に行ったことはありませんでした。海外で働きながら生活することなど想像もしていなかったわけですが、実際に海外で生活をして良かったこと、そうでなかったことをお伝えしたいと思います。
★海外で働くこと
海外で働く日本人の人には大きく2つのケースが考えられます。日本の会社の海外駐在員として働くケースと現地の会社に就職するケースで、私は日本の会社を退職して現地の会社に転職をしたので後者のケースになります。
· 日本の会社の駐在員の場合、3年から5年の任期で海外赴任するため、会社都合で日本に帰国するのですが、現地の会社に就職する場合、自分の意志で滞在年数を決めることになります。自分の人生は自分で決めるということになりますが、どれだけ長くその国にいても自分が外国人であることには変わりません。どれだけ住みやすい国であっても、どれだけ仕事が楽しくても私は常に母国である日本を離れ続けることに悩み続けています。
· 海外の会社は実力主義です。実績を出さなければ解雇されてしまうケースもあります。一方で、結果を出せばそれに見合った評価をしてもらうことができます。私の場合、転職直後は語学力がなかったので、正社員にしてもらうまでの期間は本当に苦労しました。辛いことも多かったのですが、生きているという実感は強く持つことができました。
· 海外の会社は仕事とプライベートの両立ができるため、夏休みや冬休みなど年に2週間程度のまとまった休暇を2、3度取得することができます。私は休暇を利用して旅行をするのが楽しみになっています。
· 現地の会社に就職する場合、日本の会社との関係はなくなります。日本の健康保険や厚生年金の制度はなくなり、これはなかなか不便で年金などは自分で別に考える必要があります。また健康保険にも加入していないので、日本で病院にいくと基本的に実費になります(海外で加入する保険でカバーできることもありますが、自分で立て替える必要があります)。日本人でありながら日本人でないという気持ちになることがあります。
· 当たり前のことですが、仕事は英語がすることになるので、ビジネス英語を使いこなせないと仕事をうまくこなすことができません。日本語なら簡単に表現できることがうまくいかない時もあります。また語学の問題ではなく国によってビジネスに対する考え方や企業文化が異なります。私は国境を越えてビジネスをするということに大きなやりがいを感じています。

★海外で生活すること
· 私の両親は私が海外にいるときに亡くなりました。母の死に立ち会うことができませんでした。長く海外にいたこともあり、親孝行も十分にできませんでした。個人の考え方もあるかもしれませんが、私は日本を離れることで失うものもありました。
· 私の場合、両親が他界した後は実家がなくなったので、日本の住所がありませんでした。細かい話ですが、日本に住所がないと携帯電話やクレジットカードの契約などが難しくなり苦労しました。こういったことも日本と疎遠になっていく気がするので寂しい気持ちになります。
· 仕事面でも同じことがいえますが、海外には日本とは違った文化や人々の考え方があります。異文化に触れることは自分の視野を広げることになり、貴重な経験になります。他の国のことを知ることで、日本の良さをあらためて実感することも多くありました。
これから海外での生活をいろいろとご紹介していきたいと思います。日本の知人には海外で働くなんて凄い、格好いいという人もいますが、何の特技のなかった私ができているので海外で生活すること自体は難しいことはありません。ただ、得るものも多くありますが、失うこともあります。私は自分が選んだ人生に後悔はありませんが、海外で生活していたいと思う方には自分自身がどういった人生を送りたいかを考えて判断するのがよいと思います。
Have a good life !