有価証券報告書を使って企業のことを調べよう(村田製作所)
更新日:2020年9月15日
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注)この記事は企業研究をするための1つの方法をご案内することを目的にしているため、企業の財務状況には触れていません。また、例示企業は無作為に選択しており、企業の良し悪しについて著者の意見を反映しているものではない点はご了承ください。
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私の以前にブログ記事(日本の企業を調べる方法)で有価証券報告書で企業のことを調べることができるということをお伝えしました。今日は実際に有価証券報告書から何が分かるのかをみていきたいと思います。
私はグローバル系の会社に興味があるのでインターネットで海外ビジネスの比率が多い会社で検索して出てきた「村田製作所」をみてみましょう。名前は聞いたことがあるけど実際にはどのような会社だと思う方が多いかもしれません。
まずは金融庁の情報開示システムのEDINETで有価証券報告書にアクセスします。

村田製作所の有価証券報告書が出てきました。有価証券報告書をプリントアウトすることもできますが、村田製作所の有価証券報告は100ページ以上あるのでまずはネット上で内容を確認するのがよいと思います。最初のページの右側に目次があるのでみたい項目のページをすぐに確認できるので便利です。
有価証券報告書はぱっと見ると財務情報が羅列されていて難しいと感じるかもしれませんが、会社のことを初めて調べる時には、まずは有価証券報告書前半の部分に注目していただきたいと思います。

これからこの会社の会社説明会にいく、OB訪問をする、面接を受けるという前提で有価証券報告書からわかること、感じたことを確認することが大切です。
★会社沿革
会社の沿革をみてみましょう。私がここから感じたことは以下の点です。
· 操業が1944年で80年近くの歴史のある会社であること
· 2000年頃から海外に生産拠点を設立して、海外ビジネスを急速に拡大していること。特に中国、東南アジアでの事業展開が目立つこと。
· 海外進出の後、2013年頃からはM&Aに力を入れて事業拡大を推進していること。
この時点でこの会社が海外事業に力を入れていることがよくわかります。

★事業の内容
次に事業の内容をみてみましょう。

この会社はコンポーネント(コンデンサ・圧電製品など)、モジュールの電子部品などの製造・販売が主な事業とあります。また、海外の重要な拠点として米国と中国を挙げています。英語や中国語ができると会社の戦力になれるかもしれません。
★事業の状況
次は事業の状況、ここにも興味深い内容が記載されています。


この村田製作所はスマートフォン向けの部品などを供給しています。今の時代になくてはならない会社で将来性もあるのではないかと感じます。自動車関連の商売もありこれからの次世代自動車向けのビジネス拡大も会社の大きな課題になるようです。

会社の将来性を感じることができましたが、会社にとっての課題は何でしょうか。有価証券報告書には製品の価格競争とあります。今は韓国や中国の企業の成長が顕著ですが、こういった外国企業を含め、国内外の競合他社のことは聞いてみたいと思います。

スマートフォンの普及や5G時代の到来を考えると良い会社ではないかと思いますが、会社は中長期的な観点で会社の方針を考えているようです。特定の製品に頼ることなく新しいビジネス、製品の開拓にも目を向けています。近年、M&Aを多く行なっているのもこういった背景があるのではないかと感じます。

驚くべきことはこの会社(グループ)の海外売上比率は90%を超えています。ほとんどのビジネスが海外になるわけです。海外で活躍したいと考えている人にはやりがいのある仕事ができそうです。
いかがでしょうか。ここまでざっと有価証券報告書をみてみただけでも会社のことがよく分かりました。この記事では財務状況の分析には触れていませんが、財務内容はもとより、海外ではどの国の売り上げが大きいのかなども確認することもできます。分かりにくい部分や興味をもった部分についてはインターネットを使ってさらに詳細を調べたり、OB訪問などの機会があれば、その会社の人に直接聞いてみるのも有効ですね。会社の人からどこで調べたのか?と聞かれた時に「有価証券報告書を拝見しました」と言えばインパクトも大きいですね。
これからも有価証券報告書を使っていろいろな企業を研究していきましょう。
Have a good life!