有価証券報告書を使って企業のことを調べよう(三井海洋開発)
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注)この記事は企業研究をするための1つの方法をご案内することを目的にしているため、企業の財務状況には触れていません。また、例示企業は無作為に選択しており、企業の良し悪しについて著者の意見を反映しているものではない点はご了承ください。
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今回も有価証券報告書で企業研究をしてみたいと思います。前回と同様にインターネットで海外ビジネスの比率が多い会社として出てくる「三井海洋開発」という会社をみてみましょう。
まずは金融庁の情報開示システムのEDINETで三井海洋開発株式会社の有価証券報告書をチェックします。

三井海洋開発の有価証券報告は99ページですね、多くの日本企業の決算末が3月末なのですが、この会社は12月末決算のようです。

以前の記事でも書いていますが、これからこの会社の会社説明会にいく、OB訪問をする、面接を受けるという前提で有価証券報告書からわかること、感じたことを確認することが大切です。
★会社沿革
この会社は1968年に三井造船と三井物産の出資で設立された会社であることがわかります。報告書の後のページにある株主情報をみると今でも三井E&S(旧三井造船)と三井物産が主要な株主になっています。

★事業の内容
この会社の事業は浮体式海洋石油・ガス生産設備の設計・建造・据付、販売、リース及びオペレーションを主な事業としているとあります。主な得意先は海外各国の政府系又は民間石油開発会社とありますから海外売上比率が高いのも理解ができます。エネルギー関連ビジネスとなるので日本にとっても大切な事業を行っている会社であるように思います。

★事業の状況
次は事業の状況、ここにも興味深い内容が記載されています。この会社は石油・ガス開発の浮体式の設備の設計、建造、据付、販売、リース事業を行っているようです。石油・ガス開発の設備は陸に建設されるものをイメージされますが、浮体式というのは陸に建設される設備とどう違うのかという疑問が出てきますね(実際には陸式と浮体式ではそれぞれ異なる特徴がありますが、こういった疑問を自分で調べたり、OB/OG訪問の際に聞いてみると良いと思います)。
また原油など資源の価格が会社の経営に影響するように書いてありますが、具体的にはどのように影響するのか考えてみる必要もありそうです。

★対処すべき課題と事業リスク
この会社のプロジェクトは2-3年にかけて行う1000億円を超える大型プロジェクトのようです。こういった大型プロジェクトを管理できる人材育成を強化する必要がある、言い換えれば多くのプロジェクトを受注していくためにまだまだ人材が足りていないと解釈することができます。この会社ではやりがいのある仕事をすることができるのではないかと感じます。
一方、事業内容をみて疑問に思った資源価格との関係性にも触れています。石油など資源価格が下がると石油開発会社などは開発を縮小するため、この会社のビジネスにも少なからず影響が出る可能性があると書いてあります。

★経理の状況
ここでは財務状況については触れませんが、海外ビジネスの割合をみるために「セグメント情報」をみるのは有益です。ブラジル、ガーナ、オセアニア、アジアといった国でのビジネスが多いようです。新興国と言われる国で活躍するチャンスがあるかもしれません。

その他、三井E&S、三井物産が主要な株主になっており、従業員の状況と項目には出向者などの受け入れもあると書いてありますから、親会社からの出向者もいて、経営方針や社風などの影響も受けている可能性があります。こういったこともOB/OG訪問の際に聞いてみるとよいと思います。
こうしてざっと有価証券報告書をみるだけでも日本の国益のために大きな仕事ができる可能性を感じます。正直に言えば、私が学生の頃にはこういった会社に興味を持つことはできませんでしたが、今の学生の皆さんにはいろいろな企業を調べていただきたいと思います。
Have a good life!