ロシアという国
先日、ボリショイ劇場を久しぶりに訪れてボリショイ劇場の素晴らしい雰囲気(画像)をみて、あらためてロシアという国について考えます。
日本の皆さんにはロシアはなかなか馴染みのない国だと思います。ロシアに初めて来た頃に祖母から日本のスーパーはあるのか、友人からはスパイに狙われないのかと真顔で言われたことがあります。日本ではロシアについて政治的な報道がほとんどということもあり、ロシアの本当の姿は実際に来てみないと分かりません。私もロシアに来るまでは「おそロシア」というイメージしかありませんでした。
私は本業で日本企業をクライアントとしているので、多くの日本人駐在員と付き合いがあります。ロシアに縁のなかった駐在員の方のほとんどが最初はロシアに嫌々赴任するのですか、数年後には「帰国したくない」、「ロシアは住みやすくて最高だ」とすっかりロシアのファンになってしまいます。もちろん私もその1人だといえます。その理由は何であるかを考えてみます。
1. 最初のイメージがあまり良くないので実際にロシアをみてギャップに驚くから
第一印象でこう感じる人が多いのですが、恐る恐るロシアに来て想像以上に普通すぎることに感動する人が多くいます。
2. ロシア人が優しいから
笑わないロシア人のイメージがありますが、ロシア人は基本的に凄く優しい人が多いです。特にお年寄り、子供、女性を大切にします。地下鉄でお年寄りや妊婦さんが乗ってくると、一斉に座っている若者が立ち上がる光景には最初は驚きます。大きな荷物を持つ女性が階段を上がっているとマッチョなロシア人男性が必ず助けています。
3. ロシア人は超親日国だから
意外に思われるのですが、ロシア人は超親日です。日本の外務省のアンケートでも80%近くのロシア人が日本、日本人に好感を持っています。この割合は日系人が多く親日国で有名なブラジルと同じくらいです。ロシア人に日本が好きな理由を聞くと企業の技術力、伝統文化、勤勉さをあげる人が多いです。質の良い日本製品はソ連時代から有名で、日本の歴史から最近のアニメまで日本文化はロシア人に関心を持たれています。勤勉さをあげるのはロシア女性が多く、ロシア人男性に足りないものを日本人にみているようです。日本人男性にとってはありがたい話です。欧米人は日本人をなんだかんだ下に見ている人は少なくありません。そういうロシア人も皆無ではありませんが、多くのロシア人は日本人と対等に接してくれている、そう感じることが多くあります。
4. ロシア人の民度が高い
ロシアを発展途上国と言う人がいますが、私はロシアに来てそう思わなくなりました。このボリショイ劇場もそうですが、素晴らしい音楽や芸術、そういった素晴らしいものに日常的に触れて育ったきたロシア人です。日本の東京大学の先生がモスクワ大学の学生の優秀さに驚いていましたが、欧米の良い部分を吸収しながら良く学ぶ若い世代の能力もかなり高いようです。日本を凌駕するIT革新などをみてもロシアの底知れぬ能力の高さを感じます。
逆にロシアの課題を考えてみますが、ソ連崩壊からまだそれほど年数が経っておらず、短期間で急に国が変わった「歪み」のようなものを感じます。また、まだ国際的な考え方に慣れていないロシア人(高齢者に多い)少なくありません。また、欧米から制裁を受けたりしているのをみて、もう少し西側の国とうまくやれば良いのにと感じることもあります。国際的な考え方に慣れていくのは時が解決してくれるのだと思います。西側のやり方も学んだ優秀な若い世代がこれからのロシアをリードしていけば、さらにロシアは発展していくのだと思います。では、将来は欧米諸国とも仲良くやっていけるのかというと、それはどうかなと思ったりもします。今の若い世代は西側の良い部分を認めて吸収していますが、欧米諸国(特に米国)とは常にライバルであるべきと教育を受けています。少々道が悪くてもロシアはロシアの道を行く、良くも悪くも「ロシア流」がこれからも続くのではないかと思います。
中国が力をつけて来て欧米諸国に加えてロシアのライバルになりました。ロシアは表向きは中国と仲良くしていますが、中国を本当の友人だと考えているロシア人は多くありません。日本は欧米諸国や中国と違った立ち位置にいます。日本は基本的には欧米諸国の友人ではありますが、隣国ロシアとも友人になれると私は思っています(特に政治以外の部分)。ロシアの人にも日本の人にもそのことを考えてみて欲しいと思った夜でした。


