ベトナムで教えてもらった「幸せ」の定義
私は仕事の関係で長く海外に在住していますが、仕事はヨーロッパが中心ということもあり、他の地域の情報も知りたいということもあり、年に2、3回はアジア方面に旅行にいくことにしています。
旅行先ではその国の美味しいものを食べたり、私の好きなゴルフをしたりもするのですが、現地の会社の同僚や日本人駐在員に会って、その国の経済やビジネスの話を聞くことも楽しみの一つになっています。我ながら勉強熱心だと思います(笑)。冗談はさておき、今日は私がベトナムに行った時のことをお話しします。
現在、たくさんの日本企業が東南アジアでビジネスを展開しており、タイやインドネシアは日本企業に注目されている国になっています。また、タイのバンコクやインドネシアのジャカルタは高層ビルが建設され、地下鉄や鉄道のインフラも急速に整備されて近代化が進んでいます。空港や地下鉄などの整備はODA事業にもなっており、日本企業が活躍していることもあり日本の存在感も大きいのは日本人として嬉しく思います。
べトナムも日本企業から注目されている国ではあるものの、タイやインドネシアと比較するとそれほど近代化は進んでいないようにみえます。また、政府の政策をみても積極的に外国企業を誘致しようという意気込みも強く感じられません。私がベトナムを訪問して、私の会社の現地のベトナム人の同僚と食事をした時に思い切って聞いてみることにしました。
まるこ:「ベトナムのホーチミンシティーやハノイといった大都市をみてもまだまだ近代化の余地があるようにみえる。会社の通勤にはたくさんの人がバイク通勤をしているし、街中には昼間から何もせずに集まって談笑している人も多い。地下鉄や高速鉄道ができたら人々の生活はもっと便利になり、豊かになるのではないか。日本などの先進国にインフラの整備を支援してもらうこともできるのではないか」
同僚:「まるこさん、言いたいことは分かります。でも、街中にいる人の顔をみて彼らが不幸せそうにみえますか?」
まるこ:「確かに多くの人は笑顔でお金や食べ物に困っているようにはみえないな」。
同僚:「そう、それが答えですよ。ベトナムの南の方に行けば、お米が獲れます。海があるから魚も獲れる。果物も美味しいでしょう。ベトナムでは生きていくために最低限必要なもののほとんどは自給自足が可能です。地下鉄や鉄道、高速道路が整備されたら便利になるかもしれません。ただ、そういった近代化が必要だと考えていないベトナム人がたくさんいるんです」。
衝撃でした。私は道路が整備され、地下鉄や高速鉄道がある都市が便利で豊かであると思い込んでいました。私のそういった考えはベトナムの人からすれば「親切の押し売り」なってしまう可能性があるのです。
この記事を書いている2020年9月は米中の対立が激しくなってきており、「脱中国」を考え始めている日本企業も出てきています。そんな中国の後継国としてベトナムを含む東南アジアがあらためて注目されてきています。
日本企業はこれからも海外でのビジネスを拡大していくと思いますが、日本の考え方ややり方が正しいとは決めつけず、現地の人の気持ちや考え方をよく聞いて豊かな生活、幸せとは何かを考えることが大切なのだと思います。
Have a good life !